日程表・主な企画
主な講演・シンポジウム
- ※主な講演・シンポジウムは、2026年10月1日(木)~10月31日(土)にオンデマンド配信されます。
- ※各企画やテーマは変更になることがあります。
- ※大会準備委員会企画シンポジウムの終了時間が大会通信掲載内容から変更しております。
2026年9月19日(土)
10:00~12:00 公開講座
「兵庫県におけるいじめ予防の推進 -包括的な支援に向けた学校の取組とカウンセラーの役割-」
- *どなたでも無料でご参加いただけます
企画者:松本 剛(神戸親和大学)
カウンセラーのひとつの役割に心理教育支援がある。広く多くの人たちに提供される、心に関する取り組みにカウンセラーはどのような役割を果たすことができるだろうか。兵庫県のいじめ予防に関する取り組みの紹介を含む3つの話題提供をもとに、包括的な心理教育にカウンセラーが果たす役割を考えてみたい。
- 〇寺戸 武志(上越教育大学)
- 生徒指導提要では、すべての児童生徒に向けた発達支持的生徒指導や課題未然防止教育が生徒指導の基盤に位置付けられている。そこで、学校におけるユニバーサル予防の必要性や展開等について話題提供を行う。
- 〇福田 裕子(兵庫県教育委員会)
- 当センターでは、いじめ予防に生かせる資質・能力を育む 「いじめ未然防止プログラム」の開発・提供を行っている。そこで、本プログラムの紹介とともに、実践例や成果等に関する話題提供を行う。
- 〇永浦 拡(北海道教育大学)
- 昨今、SCやSSWの参画による多角的ないじめ予防が求められている。他方で、学校現場は社会的・文化的背景により多様化しており、専門的知識に加え、状況に応じた柔軟な活動が必要である。そこで、SC・教職員間が連携したいじめ予防の実際について話題提供を行う。
13:30~15:30 大会準備委員会企画シンポジウム
「包括的な支援につながるカウンセリング」
企画者:新井 肇(関西外国語大学)
- 〇企画趣旨
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現代社会は価値観やライフスタイルが多様化し、従来の「普通」や「標準」が通用しなくなっている。また、社会の急激な変動(テクノロジーの進化、働き方の変化、環境問題など)により、従来の悩みとは異なる新たな課題が生まれている。そのような状況において、カウンセラーには、クライアントの多様な価値観や背景を理解し、柔軟で幅広い支援を行うことが求められる。つまり、「包括的な支援につながるカウンセリング」が必要とされていると言えるであろう。
「包括的な支援につながるカウンセリング」とは、心理面だけでなく、生活環境・身体的健康・社会的関係・経済状況など、多角的な視点からアセスメントを行い、クライアントの全体像を捉えたうえで、必要に応じて、医療・福祉・教育・法律など、他機関や他の専門職と連携し、チームで支援を行う姿勢や仕組みをもったカウンセリングを指す。また、クライアントの悩みだけに焦点を当てるのではなく、その人の人生や価値観、強み、希望など全体像を尊重した支援を行うカウンセリングとも言える。
多様化した変動社会において、「包括的な支援につながるカウンセリング」をどう進めていくのか、どこに課題があるのか、という問いに答えることが本シンポジウムの目的である。 - 〇話題提供:野田 正人(立命館大学名誉教授)
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「多職種連携による包括的支援を考える」
人の支援を行う場合、まず人をどのような存在と認識するかによって、そのアプローチが異なることになる。医師は生き物としての人に着目し、法律家は法的存在としてとらえ、教師は教授することで変化する存在としてとらえる。しかし、それぞれの分野固有の支援に困難や限界が生じると、他分野の知見をも取り込んでより効果的な支援を確立しようとする。
そこに包括的支援の萌芽が存在する。ところでこの包括的支援は、他分野の知見を活用するとしても、それは多職種である必要があるのか。また多職種であるならどのような連携を行うのかといった点について、児童相談所や学校ソーシャルワークなどいくつかの仕組みを例に検討してみる。 - 〇話題提供:飯田 俊穂(安曇野内科ストレスケアクリニック・昭和医科大学医学部)
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「医療場面におけるカウンセリングを活かした包括的支援の考え方と実際」
医療場面では、身体症状への対応のみならず、その背景にある心理的苦痛、生活環境、家族関係、社会的孤立を含めて理解する包括的視点が求められる。本発表では、生物心理社会(BPS)モデルに基づき、身体・心理・生活・社会の四側面から患者さんを多面的に捉えるアセスメントの重要性を論じる。さらに、多重迷走神経理論や予測脳などの神経科学的知見を援用し、患者さんの反応を性格傾向だけではなく神経系の安全確保に関わる反応として理解する視点を提示する。あわせて、カウンセリングを主観的体験の言語化と多職種連携を支える実践として位置づけ、その意義と具体的展開について検討する。
- 〇話題提供:福島 哲夫(大妻女子大学・成城カウンセリングオフィス・日本心理療法統合学会理事長)
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「心理療法・カウンセリングの統合の立場から~一人のカウンセラーがいろいろな形で支援する~」
価値観やライフスタイルが多様化した現代において、支援も包括的なものになる必要がある。そして、それは多職種連携を基本とするというのは大前提であろう。しかしながらクライアントが抱える課題や問題ごとに際限なく多くの専門家が連携するのは非現実的でもある。また、例えば大きな病院や福祉施設であれば、多職種連携はクライアントの負担なくできるが、小さな事業所やカウンセリングオフィスでは、「多職種連携という名のたらい回し」が起こりかねない。
心理療法統合の考え方では、クライアントの状態やニーズに合わせて、一人のカウンセラーが異なった種類のカウンセリング技法を導入するだけでなく、家族への支援やケースワーク的な支援、さらには学校や地域や行政への働きかけもすることを目指す。これらを実際の事例を簡単に紹介しながら、いくつかの考え方や統合モデル、そして今後の課題点などを紹介したい。
2026年9月20日(日)
10:00~12:00 招待講演
「震災とストレスマネジメント」
演者:冨永 良喜(兵庫教育大学名誉教授)
震災後の子どもの心のケアでは震災時の恐怖(トラウマ)への対処と避難所生活など災害時日常ストレスへの対処と喪失への対応の3つが求められる。余震などから身を守るには防災教育は必須であるが、被災地では言葉("地震""津波")や防災教育はトラウマ記憶の安全なリマインダーになる。安全と危険を見分ける力を育み、苦痛度の低い防災教育から行うことは、ストレス障害のリスクである強い回避と自責感を低減し回復を促進する可能性がある。また、いじめや暴力は災害と同様な心身反応を引き起こす。演者はD-EST(災害学校支援チーム)心のケア研修動画で平時の心の防災‐災害・いじめ・暴力から命と心を守る授業‐を紹介している。日常ストレス対処として、抑うつ防止につながる認知のトライアングルやアサーションを含む3つの言い方、試験・試合・発表へのメンタルトレーニングや親子ストレスの授業案と実践を報告する。自分のストレス対処法を学ぶ授業では、トラウマストレスチェックをタブレットで行い、アドバイスシートを各児童生徒に還元し、教育相談で活用する。参加者がペアになり仮想事例のアドバイスシート用いた教育相談ロールプレイ演習も予定している。
13:00~15:00 カウンセリング学会・カウンセリング心理士会企画シンポジウム
「子どもの未来を切り拓くカウンセリング」
企画者:井ノ山 正文(カウンセリング心理士会会長)
- 〇企画趣旨
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文部科学省の最新統計(2024年度調査、2025年10月発表)によると、小・中学校の不登校児童生徒数は過去最多の353,970人となり、12年連続の増加となった。小・中・高等学校における暴力行為、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数、小・中学校における長期欠席者数、小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数も増加傾向にある。また、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課による「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について 」(2022年12月発表)では、小学校・中学校において 「学習面又は行動面で著しい困難を示す 」児童生徒は推定値8.8%(8.4%~9.3%)と報告されている。他にも厚生労働省の調べによれば、日本の17歳以下のこどもの貧困率は11.5%(2021年)で、約8.7人に1人のこどもが貧困状態にあるともいわれている。
子ども達の困難さをどのように理解し、受け止めることが求められているのだろうか。これらの背景には教育的課題、社会的課題、経済的課題なども関連していることが思慮される。また、コロナ禍のなかで失われた対人関係などの影響も見逃せない。そして、WHOの国際生活分類によって示された健康の概念では「個人要因」のみではなく「環境要因」にも着目することが求められている。子ども達の課題を個人要因のみに求めるのではなく、環境要因にも着目する視点が必要である。エンゲル(George Engel)が1977年に提唱した生物・心理・社会モデル(Bio-Psycho-Social Model, BPSモデル)では、生物学的要因(遺伝、生理機能)、心理的要因(感情、認知)、社会的要因(家族、文化、環境)の3つの側面から総合的に捉え、相互作用として理解する考え方が提唱されている。この視点を基にするとアセスメントの在り方が変わる。そして、子ども達への支援方法も一次支援に力点を置くことが求められる。子ども達の未来を展望するために、現在地を確かめ今後の方向性を探るシンポジウムとしたい。 - 〇話題提供:新井 雅(跡見学園女子大学)
- 現代では、不登校や自殺など、子どもたちの発達をめぐる課題や心の危機が続いている。また、AI(人工知能)をはじめとする技術革新が進むとともに、少子高齢化による人口減少や国際情勢の不安定化など国内外の社会課題も多岐にわたっており、子どもたちが育つ生活・学習環境は大きく変化してきている。こうした社会の変化の中で、子どもたちをどのように守り、支え、育んでいくかは重要な課題である。一方、近年では、こども基本法やこども大綱に示されるように、子どもの権利保障や意見表明・社会参画を重視する機運が高まっており、「大人が子どもをどう育て、支援するか」だけでなく、「子どもと大人がどのように対話・協力しながら、より良い社会をともにつくっていくか」という姿勢と取り組みが強く求められている。本話題提供では、主に学校教育で実践されてきた従来の予防的・開発的なカウンセリングや心理教育の展開を基盤としつつ、子どもたちとともに、より良い学校や社会をつくっていくカウンセリングの発展の可能性について検討する。
- 〇話題提供:伊藤 美奈子(神戸女子大学)
- 学校現場でのスクールカウンセラーとしての実践を通して、子どもが抱えるさまざまな課題が見えてくる。不登校やいじめ、暴力行為以外にも、孤独・孤立や虐待、ヤングケアラーや自傷・自殺など、多様な社会問題に巻き込まれ、学校現場も疲弊している。子どもの生きづらさの背景には、保護者のしんどさがあり、そしてその後ろには社会全体の閉塞感や不安定さが見え隠れする。とくに、ここまで増え続けている不登校に対しては、教育機会確保法ができ多様な学びの場が作られつつあるが、それぞれの「居場所」が、どう対応すべきかという正解がないままに試行錯誤を続けているのが現状である。本話題提供では、報告者がこれまで関わってきた教育現場の実情や、国(報告者が関わっている文部科学省やこども家庭庁、さらには内閣府)の動きなどを踏まえつつ、カウンセラーの立場から何ができ、何を求められているのかについて私見を述べたいと思う。
- 〇話題提供:金山 健一(神戸親和大学)
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本シンポジウムにおいて、ネット依存やネットいじめ・自殺、さらに闇バイトや卒業アルバムのデジタル流出といったデジタル社会特有の課題に焦点を当て、子ども理解と支援の在り方について論じる。オンライン環境は生活基盤である一方、匿名性や拡散性を背景に、逸脱行動への関与や個人情報の問題など新たなリスクを生み出している。これらを個人の問題に還元せず、家庭・学校・社会環境との相互作用として捉える視点に基づき、的確なアセスメントの重要性を踏まえた支援が不可欠である。そこで、包括的生徒指導モデル(マルチレベルアプローチ)に基づき支援の再構築を提案する。
具体的には、ネットから離れた自然体験やピアサポートを通じたキャンプ療法による「つながりの再構築」に着目する。これらは自己効力感や所属感を高め、予防的・開発的支援として機能する。一次支援を基盤とした包括的カウンセリングの方向性を提示したい。
