会長挨拶

2023年7月1日(土曜日)に第7回日本低侵襲心臓外科学会学術集会(Japan MICS Summit 2023)を大阪市中央公会堂で開催させていただくこととなりました。

心臓外科において年々MICS症例は増加しておりますが、今回は、もっとも普及している右小開胸による弁形成手術をフォーカスします。私は胸骨温存手術(Sternal Sparing Operation)としてMICSを捉えており、胸郭の要である胸骨を切らないことが低侵襲につながる一要素と考えております。右小開胸MICS手術には、直視下手術(direct MICS)、鏡視下手術(endoscopic MICS)、そしてロボット支援手術(robotic MICS)がありますが、個々の施設の事情によってできうる手術が異なります。ですから、どの手術がよいという議論ではなく、また腕自慢でもない学会にしたいと思っています。

どの施設も当初はdirect MICSからスタートしますが、手術の安全性と質の担保が必要です。「低侵襲手術というからには、non troubleで終わってこそ低侵襲と呼べる」というのが私のコンセプトです。患者さんは「低侵襲手術」という言葉に惹かれてMICS手術を受けられ、期待も大きいと思われます。MICSは本来Minimally invasiveですが、この“M”をModerate invasive, Maximal invasiveの“M”にしないことが大切です。今回は医療安全・心筋保護についてのセッションも設けます。MICSは外科医のみではなく、麻酔・体外循環などのチームの総合力が大切ですので、他職種の参加をお待ちしております。

大阪市中央公会堂は中之島に大正7年に建てられた大正ロマン溢れる国指定重要文化財です。(https://osaka-chuokokaido.jp)。3Dでの手術映像の上映を予定しておりますので、リアルな映像にご期待ください。

第7回日本低侵襲心臓外科学会
会長 柴田利彦
大阪公立大学大学院医学研究科
心臓血管外科学 教授