一般社団法人日本家族療法学会 第38回大会

プログラム

講演

基調講演:
小森 康永(愛知県がんセンター)
小森 康永(愛知県がんセンター)
「ジョンとマイケル―<問題>を問題化した人たち」
略歴
1985年岐阜大学医学部卒業。以後10年にわたり同大学小児科に籍を置き、MRI等での研修を経て小児の情緒障害診療に従事。1995年名古屋大学医学部精神神経科へ転入後、愛知県立城山病院勤務。現在、愛知県がんセンター精神腫瘍科部長。「物語としての家族」(金剛出版, 1992/2017)にはじまり「ナラティヴ実践地図」(金剛出版, 2009)「ナラティヴ・セラピー・クラシックス」(金剛出版, 2018)など、ホワイトの著作を中心に多数の翻訳を手掛け、日本のナラティヴ・セラピーを切り拓き牽引してきた。主要著作として「ナラティヴ・セラピーを読む」(ヘルスワーク協会, 1999)、「ナラティヴ実践再訪」(金剛出版, 2008)、「ナラティブ・メディスン入門」(遠見書房, 2015)。
招聘講演:
アンドリュ・タネル(サインズ・オブ・セーフティの共同開発者/サインズ・オブ・セーフティの世界的コミュニティEliaの創設者)
アンドリュ・タネル(サインズ・オブ・セーフティの共同開発者/サインズ・オブ・セーフティの世界的コミュニティEliaの創設者)
「サインズ・オブ・セーフティは子ども虐待対応の最前線に何をもたらすか」
略歴
クンビア大学ソーシャルワーク実践担当教授。国際的な児童保護の分野で現在最もよく知られている参加型アプローチである、児童保護ケースワークのためのサインズ・オブ・セーフティアプローチの共同創始者であり、日本、ニュージーランド、ヨーロッパ、北米から集まった60名のサインズ・オブ・セーフティのトレーナーとコンサルタントを率いている。また、アイリーン・マンロー教授、テリー・マーフィー氏とともに、Munro, Turnell and Murphy Consulting(マンロー、ターネル、マーフィー・コンサルティング)を設立し、世界各国の政府や児童サービス機関と協力して、児童保護の実践と組織の変革に取り組んでいる(詳細は www.signsofsafety.net および www.munroturnellmurphy.com )。日本語に翻訳された著作としては「安全のサインを求めて:子ども虐待防止のためのサインズ・オブ・セイフティ・アプローチ」(金剛出版, 2004)、「児童虐待を認めない親への対応:リゾリューションズ・アプローチによる家族の再統合」(明石書店, 2008)。
大会長講演:
安達 映子(立正大学)
「マージナリティからの家族療法」

シンポジウム

大会企画シンポジウム1:ナラティヴ・セラピーの30年

シンポジスト:
小森 康永(愛知県がんセンター)
野口 裕二(東京学芸大学名誉教授)
野村 直樹(名古屋市立大学)
コーディネーター:
矢原 隆行(熊本大学大学院)
安達 映子(立正大学)
企画趣旨:
本大会は、「物語としての家族」(ホワイト/小森)の翻訳出版から30年、「ナラティヴ・セラピー」(マクナミー&ガーゲン/野口&野村)の翻訳からは25年が経過し、日本におけるナラティヴ・セラピーの節目ともいえる年に開催される。
本シンポジウムは、この30年を牽引し、伴走し、後押してきた三者に、「ナラティヴ・セラピー」という物語はどう影響し、今どこに立ちその目に何が映り、そして、どこに向かって生きようとするのかを、自在に語り合っていただくことを趣旨としている。それが回顧、現況あるいは展望になるのか、それとも「ナラティヴ・セラピー」などとうに離れた新たな別の物語になるのか―予測のつかない語りが、聴衆の思索の一助となることを期待している。

大会企画シンポジウム2:解決志向アプローチ―ソリューションが切り拓く支援のカタチ

シンポジスト:
阿部 幸弘(こころのリカバリー総合支援センター)
黒沢 幸子(目白大学)
土屋 典子(立正大学)
渡邉  直(千葉県柏児童相談所)
コーディネーター:
鈴木 浩之(立正大学)
企画趣旨:
解決志向アプローチは、1970代の終わりにアメリカのミルウォーキに設立されたブリーフ・ファミリー・セラピー・センター(Brief Family Therapy Center BFTC)において、スティーブ・ディ・シェイザー、その妻であるインスー・キム・バーグらによって始められた。二人は、常にクライエントにとって何が役に立っているのか実証的なスタンスにより観察する中で、「問題があってもうまくいっているときはある」ということを発見した。そして、問題にアプローチするよりも、問題のない時を増やしていけばよいとの発想にたどり着いた。誰もがこれまでも体験し、言われてみればごく当たり前のことのようにも思えるが、この着想に至るまでには随分と時間がかかったようにも思う。支援者も長い間、因果論の呪縛の中にあった。
この発想は、問題への対応に苦労している対人支援職に新しい実践のパラダイムを提供し、様々な分野に大きな影響を与えた。心理療法にとどまらず、医療、教育、福祉、産業など様々な分野で広がりを見せ、さまざまな「支援のカタチ」をつくりだしている。今回のシンポジウムでは、各分野の第一線で「支援のカタチ」を作られている実践者の皆さんに解決志向アプローチの最先端の取り組みを伝えていただき、それを再検証しつつ、これからの「支援のカタチ」を考えていきたい。

大会企画シンポジウム3:
危機と回復への家族支援 ―震災から10年、パンデミックのさなかで

シンポジスト:
芦沢 茂喜(山梨県峡東保健福祉事務所)
小澤 康司(立正大学)
清水 冬樹(東北福祉大学)
瀬藤乃理子(福島県立医科大学)
コーディネーター:
長沼 葉月(東京都立大学)
企画趣旨:
大会開催の2021年は、東日本大震災からちょうど10年の節目となるとともに、引き続きCovid-19がわたしたちの生活に大きな影響を与え続けているだろうと想像される。震災や感染症という大きな社会的危機において人々や家族がどのような困難を抱え、どう生き延びるのか、またそこからどう回復していくのか。そして、そのプロセスにかかわる支援者は、何を捉え、感じているのか。これから、わたしたちは、どこに向かって動いていこうとしているのか。
本シンポジウムでは、家族支援という視点を中核に置きつつも、危機と回復に同伴してきた多様な立場のシンポジストから実践報告や問題提起をいただく。長期的な検証とリアルな現状を交錯させつつ、このテーマをめぐる立体的な像をフロアと共に見渡す2時間としたい。

大会企画トークセッション:ナラティヴ・プラクティショナーが語ること

パネリスト:
宇田川元一(埼玉大学大学院)
国重 浩一(ナラティヴ実践協働研究センター/ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド)
松嶋 秀明(滋賀県立大学)
コメンテーター:
坂本真佐哉(神戸松蔭女子学院大学)
企画趣旨:
ナラティヴ・セラピーないしアプローチの視点と発想は、カウンセリングの現場はもとより、狭義の対人支援を超えた様々な領域でもその実践と研究を後押ししてきた。このトークセッションでは、それぞれの場所でナラティヴ・プラクティスをアクティブに展開してきた三者に、これまで関心をもち進めてきたこと、今まさに力を入れて取り組んでいることを語っていただく。ことばが触発し合う中で思わぬ展望が拓かれることも楽しみにしつつ、<ナラティヴの今>にふれるセッションとなることを期待したい。